就活をやめた話 1
就活することをやめた。
学部2年の時、自分で学費をヒイヒイいいながら稼いでいた時、「学費稼ぎながら就活するの無理だな」と早々に諦めて就活戦線にも乗らなかった。
学歴コンプレックスの塊だった当時の私は大学院に入って良い学歴さえ手に入れば就活なんて余裕だろう、そんな風に思っていた。
いわゆる底辺大学だったが、就職率は高く、周りの同級生達は不満や不安はあれど就職を決めていった。
「就職どうするの?」「大学院なんて受かるわけないじゃん」「逃げてるだけでしょ」「私の就活体験聞かなくていいの?」
周りの人間から浴びせられる言葉が辛かった。ほっておいて欲しかった。
同時に、
「こんな奴らよりいい人生絶対歩んでやる」
そう思って死ぬほど勉強した。良い学歴を手に入れさえすれば、こいつらよりより良い人生が待っていると信じて疑わなかった。高みから奴らを見下ろして、勝利宣言してやりたかった。あいつらがどう逆立ちしてもたどり着かない場所に居たかった。
そして、学部の時に受験に失敗した自分自身を責めながら、頭の悪い私は必死で勉強した。
大学院に合格した後は、今度は自分の能力を過信した。
何でもできると思っていた。就活だって、公務員試験だって、研究だって、この学歴を手に入れられた私にはなんでも出来ると、馬鹿な思い込みをしていた。
私は4月の入学直後から、自分の思い上がりを死ぬほど恥じることになった。
全く授業についていけない。
それどころか、同級生の発言さえも満足に理解できない。みんな学歴は少なくともMARCH以上。ディスカッションでは質問に正しく答えられない。課題の図書も理解できない。
焦った。授業についていけなければ悪い成績がついてしまう。そうしたら奨学金はどうなる?授業料免除はどうなる?大学院に通えなくなる
日々の予復習、人の2倍やれば大丈夫でしょう。早め早めに準備をし出す。
少し授業が落ち着いてきたくらいに、夏のインターンが始まる。
ESを提出しなければ。
でもとっくに周りのレベルに圧倒され、劣等感に苛まれた私には自己PRなんて書けるはず無かった。
所詮井の中の蛙のわたしが何をPRすると言うのだろう。
そんな疑問を感じながら書くESは勿論片っ端から落ちていく。授業も相変わらずついていけないまま。焦りだけが空回りしていく。
集合は15分前
服装自由はスーツでいけ
髪の色は7レベルより黒く
メイクはナチュラル
時計は銀色
気づいたら「就活」をしていく上で自分にとって足りないものが見えてくる。
質問に答えられない
どんな答えをしていいかわからない
言葉の裏を読む
高度なコミュニケーションができない。
ああ、いままで散々バカにしてきた、あいつらより、私は下等生物なんだ、と感じた。
そして社会不適合者という言葉がちらつく。
私はどうすればいいんだろう。